2022年9月17日
今、俺はゴミ箱を漁っている。 ひとっけの無い住宅街で。 ぼんやりと街灯が揺らいでいる道端で。 俺は、必死に食べ物を漁っていた。 なんでもいい。 エネルギーになりさえすれば、 なんでもいい。 恥ずかしいなんて感情は、 とう […]
2022年2月18日
母は今日も静かに寝っている。 何も無い、真っ白な部屋の中央に、母が立ったまま、浮いている。 素肌に薄いベールの様なものを、纏った母は、今日も相変わらず綺麗だ。 浮いている母に手を翳すと、タッチパネルが現れ、西暦2030年 […]
2022年1月28日
短編小説:『ボビー・コールドウェルを聴きながら』 カランカランカラン。木製の扉を開けて、店内へ入る。 コツコツコツとヒールの音をさせながら、一枚板のカウンター席に、まるで当然の如く、スッと座る。 程なくマスターが正面に現 […]
2021年10月28日
短編小説:『必要なあなた』 私にはあなたが必要です。 もしもあなたの目が見えなくなったなら、私があなたの目になりましょう。 もしもあなたの手が動かなくなったなら、私があなたの手になりましょう。 もしもあなたが私の事を忘れ […]
2020年7月29日
短編小説:『歌うたい』 歌う事が大好きな少女と少年がいました。少女の名はヒロミ。少年の名はタツヤ。 メロディーラインを歌うヒロミに、ハモったり、ユニゾンで歌ったりするタツヤ。 そんな2人の歌声はとても美しく、聴く者は皆幸 […]
2020年4月10日
短編小説:他愛も無い話 他愛も無い話だが、僕の妻はかなり面白い。 朝、8時に起こしてと言われたので、起こしてみると、「8時だよ。」と言う僕に、「全員集合!」と、寝ぼけながら答える。 しかも、握りこぶしを高々と上げるジェス […]
2020年3月31日
短編小説:『誰かのために』 いま、そこにいるあなた、誰かのために生きてください。 誰かのために生きるという事は、あなたがちゃんと生きているという事。 ちゃんと生きるという事は、あなたが自分の行動に責任を持つという事。 そ […]
2019年8月1日
短編小説:『百鬼夜行(ひゃっきやこう)』 〈注意〉18歳未満の方は大人の方と相談の上お読みください。この物語はすべてフィクションです。 日常に潜む幽かな影。ちょっとした恐怖と大いなる幻想。魅惑のスリラー・ストーリーに。よ […]
2019年6月10日
短編小説:『オモいデのサクラ』 アサオきたらパパになっていた。メがサめてなんだかヘンなカンじがして、テをミたらジブンのテがオオきくなってて、いつもよりもアシがトオくなってミえて。 ボクはびっくりしてベッドをトびオきると、 […]
2018年11月6日
短編小説:『暴走』 「おはよう、ミナミ。」「おはようございます。ゴローさん。」 何時もの会話が始まる。 「今日の天気、当たるといいね。」「そうですね。夕立はありそうですけど、全体的に晴れですね。」 「そういえば、昨日の問 […]